ヤフオクでIBM AT (5150)が出てる。これはIBM The PCの後継機種で今のWindows機の祖先に当たるものだと言われているもの。微妙に欲しいが、でかくて邪魔だし、たぶん持て余す。
時期を同じくしてGoogleのDiscoverが琴線に触れる呟きを示してきた。
あなたがWindows 10や11の動いているPCを利用しているのなら「DOS/V機を利用している」ということになるんだけれど。- togetter.com
このまとめを作った人は、元のツイート
フロッピーディスクが現役ってことはひょっとして98シリーズとかdos/vも現役なの?! ちょっと胸熱なんだけど pic.twitter.com/XjpZ6RFehm
の胸熱お気持ち表明に対して、
この人はどんなつもりで「dos/v」との語を使用しているのだろう? 所謂現在Windows PC(x86とかx64とも)と呼ばれているIBM PC-ATおよびその互換機とその派生がdos/vなんだけれど。 twitter.com/bani_lizo/stat…
とアラフィフなら常識の懐かしパソコン用語でクールにディスるためにわざわざツイッターをポストしてトゥゲッターでもまとめている。なかなかのdos/v伝道者である。
Windows PCがDOS/Vだと言っているが、個人的にはフロッピーディスクもDOS/Vも今は一般的なものとしては存在してないからどうでもいい。WindowsだろうとPC98だろうと同じ「パソコン」なんだし、と生暖かく見守ってあげたいところだが、DOS/V警察の立場としてこれは看過できない。※DOS/Vを小文字でdos/vと表現していることは不問にする。
この人はどんなつもりで「Windows10や11の動いているPCを」「DOS/V」だと主張しているのだろう?
まず言葉の定義として自分が知る範囲(いちいち調べてない)で、
DOS/V → PC/AT互換機で追加のハードウェア無しに日本語を扱えるMS-DOS互換OSの俗称、具体的にはIBM PCDOS J?.??/Vか2000J、MS-DOS ?.??/Vなどを指す。広義にはWindowsのDOSプロンプト・MS-DOSモード、OS/2の日本語環境なども含む。もしかしたら中国語や韓国語のいわゆる2バイト文字が表示できるものも含むかもしれない。
DOS/V機 → DOS/Vが稼働するパソコンのこと。具体的には80286以上のCPUを搭載したPC/AT互換機でVGA以上のビデオアダプタと2MB以上の拡張メモリを搭載したもの。
PC/AT互換機 → IBM PC AT 5170に対して互換BIOSを持ったパソコン。IBM PC ATのビデオアダプタはEGAでオリジナルの構成ではDOS/Vは動かないからDOS/V機ではない。PC/ATの互換機も必ずしもVGAを持つわけではなく、特に古いものでEGAだったりCGAだったりするとDOS/Vは動かないから、PC/AT互換機とは呼べてもDOS/V機とは呼べないマシンが存在する。
98(シリーズ) → NEC PC-9801、PC-9821シリーズとその互換機でエプソンPCシリーズのパソコンの総称。
Windows 10 → PC/AT互換BIOSまたはUEFI CSMによるMBR起動が可能。また32ビット版はDOSサブシステムNTDVMを持ち、ソフトウェア上のDOS互換性はあるが、日本語を扱えるDOS/V互換のサブシステムは存在しない。
Windows 11 → 64,ビット版しかなく、システム内にDOSサブシステムが存在しない。もちろんDOS/V互換性もないからDOS/Vのソフトは動かない。
UEFI CSMを利用できるUEFIマシン → MBR起動(レガシーBIOSブート)可能であれば、IBM PC用MS-DOSが起動可能。
UEFI CSMを利用できないUEFIマシン → MBR起動が不可。すなわちIBM PC用MS-DOSが起動せず、DOS互換性無し。当然DOS/Vは動かない。
だから、PC/AT互換機 ∋ DOS/V機 ≠ 98シリーズ かつ Windows10/11マシン ∋ PC/AT互換機。
・DOS/V機はPC/AT互換機であるが、
・PC/AT互換機は必ずしもDOS/Vの動作要件を満たすわけではない。
すなわちPC/AT互換機の全てがDOS/V機ではない。
・Windows 10、11マシンはPC/AT互換機でかつDOS/Vが動作可能の可能性があるが(前にDOS/Vを動かしたCore i7マシンが該当)、
・UEFI CSMを利用できないまたはCSMの有無に限らずMBR起動ができないWindows 10/11マシンではDOS/Vが動作不可。(今使ってるHPのノートパソコンが該当)
すなわちWindows10マシンがDOS/V機である可能性はあるが、全てがDOS/V機ではない。たとえばスティックPCやタブレットPCは32ビット版Windows8.1でもUEFI専用でDOSの起動ができないものばかり。
少なくともインテルは2018年以降CSM排除って言ってきたから、この5年以内のWindowsマシンはUEFI CSMを排除しつつあるし、CSM対応でもFDからMBR起動できないものもある。それに運良くDOSを起動できた場合でもDOS/Vがきれいに動くとは限らない。メーカーもそんな化石システム動作保証してないし。
いずれにしても最近のx64なWindowsマシンはDOSを起動できないものも多い。呟きの本人は手元の5年前のパソコンでDOSが起動できたと主張してるけど、すべてか同じだと考えるのは飛躍しすぎ。世の中のパソコンの今どき事情を知らなかっただけなのだろう。個人的には今のPCがCSMを捨ててUEFI専用機になりつつあると肌身で感じたときは結構衝撃だった。
今どきのWindowsパソコン、PC/AT互換機に端を発する系譜ではあるが少なくともDOS/Vが動かせないのにDOS/VパソコンとかPC/AT互換があるマシンだとか呼ぶことに自分は抵抗がある。正確にはx64 UEFIマシンだけど、単にWindowsマシンとか、より素人っぽく「パソコン」と呼ぶ方がしっくりくる。
Windowsが動いているパソコンは必ずしもDOS/V機ではない。
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DOS/V機はPS/55Z 5510-Zがリファレンス機だと言われているが、このマシンも所謂AT互換機であって始祖のマシンというわけではない。
こんにちは。
実を言うとIBM PCやオリジナルATの時代はまだ子供だったので当時現物を扱ったことがありません。存在は知っていたので使ってみたいなと思っていましたが、FDD搭載の16ビットコンピューターは手の届くようなものではなく、国内メーカーの8ビットマイコンのが身近な存在でした。家がもうちょっと裕福だったら違ったのかなとか思いました。
元のツイートの人もたぶん同年代のアラフォーアラフィフ世代なんだろうと考えています。Windows95時代はDOS/V MagazineとかDOS/V Power Reportなんかは良く見てましたが、その時点でもWindows機は既に「パソコン」であって、互換機?DOS/V?って何だろうってなってましたね。
こんにちは。
IBM PCやXTは当時働いていた会社で上司が使っていましたので、とても懐かしく読ませていただきました。
因みに私を含め多くの社員は5550を使っていましたが、会社のセキュリティ・ポリシーに抵触することが監査で指摘されたため、上司に同行して製造元で改造してもらった記憶があります。
DOS/V機という言葉は雑誌のタイトルにもなるくらい普通に使われていましたが、あまり深く考えたことがなかったので大変勉強になりました。
でも今の私には「パソコン」でいいかな?