商用電源測定時のプローブGNDが外れていてもよい理由

おかげさまで思わず知らんところで引用されちゃってる『オシロスコープで商用電源を直接測ってみる』のエントリだけど、一部信用されてないようなんでもう一つ実験しておきます。

回路設計しない私なんかよりも博学で高尚な本物の専門家であろうお方にておつぶやきのありがたい啓示をうけた様子、なんでも「基準電位の意味とか知らんアホや。」とかそういう感じの。

これでよろしいでしょうか。

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波形が以前のものより汚いとか電圧が落ちてるのは家中複数台のエアコンがフル稼働のため。それより注目してほしいのはプロービングしてるコンセント。拡大するとこんな感じ。

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プレートが汚いから音質に影響しそうとかそういうのはどうでもいいです。

※マネするときはいろいろ注意してください。

オシロのプローブのGNDを測定点より離すと問題が出るってのは確かに正しい。仮に「理想的」でもなく家庭用のコンセントのアースがD種接地工事の最大値100Ωで、電柱側も同程度(本当はB種接地なのでもっと小さい)、大地抵抗はこのさい無視するとして、オシロの内部抵抗が1MΩ(実際には10:1プローブでもっと大きくなる)ならば100Vを測定したときそこに発生する電位差(電圧降下)は0.02Vくらいなわけで。100Vの測定に0.01V単位の差が出たところで困ることもなかろう。

実際にはオシロのFGのアースの取り方が不完全だと1V程度とか確認できるくらいの電位差が発生するけれど、それでも測定の目的として高周波の測定をしてるわけでもないし、商用電源を直接測定する場合はアース間の電位差よりもホットコールドを間違えて短絡、地絡、感電するような危険性を優先して排除すべきで、上のような写真の状態にするには先にプローブ側を当ててホット・コールドを識別してからGND側をコールドに接続すればOK。

プロービングポイント付近に基準電位を設けるというのは教科書的には正しいけれど、単純に「100Vの波形を見る」という目的を達成する場合、プローブのGNDをいきなりつなぐのははっきりいって危険で、前回のエントリでは「プローブのGNDを理由なくどこにも繋ぐな」を一つの解とした。コンセント2極間のコンマ何ボルト単位で正確に電圧を測るのと、波の形を全体的に見るというのでは目的が違う。自分にも覚えはあるが、知ってることだけが世の中の全てだという思いこみに陥るのは怖い。オーディオ沼地方でよく見かける、木を見て森を見ずを地で行くスタイル。それ界隈で無視されてる安全性の観点からもGNDをつながずプローブの先端で触る方法なら、だれが適当にやっても地絡はしないわけで誰かが適当にマネをしても危険は及ばない。今回の写真のマネを理解せずにやったら1/2の確率でバチっといくわけで、自分が書いた記事が元で事故やらケガやらされたら責任持てないし。

測定者の安全なんかよりもコンマゼロいくつの数値の世界を追求するなんて、超スーパーハイエンドオーディオの世界は手厳しいな。まさにオ●ンピック級!! ぜひ掃除機つないだら90Vに下がるような極限の環境かつ掃除機の爆音とどろく極限の環境で超高音質を追求してください。うち、掃除機つないだところで測ったら100V以上でしたよ。音質に気を遣わない一般家庭でも掃除機一つつけたくらいで90Vに下がるなんて即修理レベルでありえないし、人に文句言うときは手持ちの安物テスタですらできる簡単な検証すらせず適当な数値を息をするようにでっちあげて赤の他人にマウント、妄想で人を叩きただけってのが即バレ。どんなにストレス抱えながら自慢のオーディオで音楽聞いてるんだろう。いいね2個もつけてもらってディスったかいがありましたわね。本職なのにこじらすとこうなる例を垣間見られて、こんなくだらない長文エントリもできたし、自分の技術レベルも一段階上がってハッピー。ありがとう。見ず知らずのオーデオ博士さん。

ほかにも違う見かたをするともっと簡単で、測定点付近にGNDを接続しないのは「大地アースを基準電位として測定してる」だけ。商用電源は接地されてるんだからそこが基準。アナログAF回路の基本中の基本、1点アースの配線のし方とよく似てるんだけどね。それに仮にアースポイントまでの電圧降下があったってその分を計算で補正できると思うんだけど。測定器の表示が真の値ではないなんて大学の専門基礎でも習うくらい物理学の基本。オーディオ沼は科学や物理学が通用しない世界だって前から知ってるし、こんな輩が湧いてくることは驚くに値しない。

他にもエゴサーチしたらちょっとクスッとしてしまうようなやりとりを見つけた。

オシロスコープ 100Vのサイン波の謎
https://www.qabox.jp/question/qa7722.html

金属製の机にプローブを当てたら100V 60Hzの波形が見えました!なんで?っていうことで、なぜかうちのエントリが引用されちゃってます。質問者は100Vをオシロで測りたいって言ってるわけでは無いから、ちょっと違うんだけどなーとか思った。せっかくの”エンジニア質問箱”なんだし回答者には「誘導」「浮遊容量」あたりをキーワードに答えてほしい。

商用電源測定時のプローブGNDが外れていてもよい理由」への1件のフィードバック

  1. ピンバック: オシロスコープで商用電源を直接測ってみる – の回想録

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