オシロでテレビを見たい。

テレビを自作する。

これはハードウェア工作を趣味とする者であれば目標にしたいものの一つだろう。しかし考えるまでもなくハードルがかなり高い。自分も高校生のころからどうやったらテレビを自作できるか何度も考えた。当時ならパチンコ台の液晶モニタ(アナログRGB200ライン仕様)の中古が良く出回ってて、それに秋月電子のコンポジット→RGBコンバータ+電子チューナパック+秋月の電子チューナPICコントローラ+バリキャップ用昇圧キット+AFアンプを組み合わせてテレビを作るのが一部で流行っていた気がする。コントローラ付きのBSチューナユニットと音声多重デコーダユニットを組み合わせれば憧れのBSチューナ付き音声多重ステレオ液晶テレビすら完成できた。でもユニットの組み合わせで「テレビを自作した」なんて自慢するのはイケてない。「テレビ」を作ると言い切るのであれば少なくとも走査をどうするか、を自分で何とかしたい。

インターネッツの先人達も苦労なさっている。
オシロスコープの画面上にテレビ放送を映し出す方法を教えてください https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q14130001984

まあ、戦後の自作世代もオシロのブラウン管でテレビを作ってたようだし、ヤフー知恵袋で言われているとおり次のようなことをすれば現代のオシロの管面に映像を出すことはできると思う。

・映像信号をコンポジットかS映像で用意する。(さすがにデジタルチューナは作りたくないのでね。)
・同期信号を分離。
・同期信号から水平・垂直掃引のノコギリ波を生成し、オシロのX-Y入力とする。
・輝度変調アンプを通してオシロの輝度変調に入力。

※ハードを作る気があってICが手に入るなら、掃引用の信号は同期分離ICのH-Sync出力とV-Sync出力にCとRでできた微分回路(大学の授業で出てくるやつ)をかませれば完成するし、輝度変調はただのビデオアンプなので専用ICでもTr(大学の授業で出てくるやつ)でも簡単にできるから、オシロでテレビなんて難しすぎて絶対できませんよ、ていうほどは難しくは無い。はず。

手元にはこのブログで過去に何回か出している普通のアナログオシロ(TEXIO CS-5400)があるが、こんなハードを作るのは面倒なんで、その前になんとかして最小限のハード工作でオシロ管面上にテレビ映像を映す方法を考えた。

で、完成した「オシロでテレビ映像を見る」装置。

osctv4

osctv5

こんだけ。おそらく電子工作史上で最も簡単な「オシロでテレビを見る装置」。これでオシロでテレビが見られる。すごいだろう。

一枚目はオシロのCH1 OUTと輝度変調入力を1Ωの抵抗で接続している回路(針金でもOK)、二枚目はPCの音声出力に挿したプラグを2CH入力のプローブに接続している回路。

で、映ったもの。

たぶん女の人。

osctv1

たぶん男の人。

osctv2

輝度が反転してるというというのはご愛敬として、映像が出るということは確認できた。

どういうことかの説明。

ハードウェアの構成:
・ブルーレイレコーダのコンポジット映像出力をオシロの1CHに入力。
・パソコンの音声出力から59.94Hzのノコギリ波をソフトで出してオシロの2CHに入力。
・輝度変調はオシロのCH1出力信号を輝度変調にそのまま入力する。

やっていること:
・水平同期信号の分離はオシロのTV水平同期(TV-F、同期ソースは1CH)を使い、そのまま水平掃引信号とする。
・垂直同期はPCから出力のノコギリ波をオシロの2CHに入れて垂直掃引信号とする。
・輝度変調はオシロの1CH入力アンプの出力が50mV/divで1CH OUTからそのまま出てくるので適当な入力レンジとCALを使って輝度変調の範囲に合わせる。→オシロの輝度変調が+5Vで黒レベルになるので本当は反転アンプを作るとよい。
・水平同期をPCの音声出力に頼れないのはPCの音声出力のサンプリング周波数が水平同期に対して低すぎるから。計算上の19kHzのノコギリ波をPCの音声出力から出すと、少し歪んだ正弦波しか出てこず、そのままでは掃引信号として使い物にならない。

もうちょっと理屈や設定をメモしておきたいが「オシロでテレビを見る装置」を作るより面倒なので後日追記予定。

→ 反転しないオシロでテレビが完成した。
オシロでテレビを見たい – ゼロの境地へ。

オシロでテレビを見たい。」への3件のフィードバック

  1. 当方照会の件につき、詳細解説頂き、
    感謝致します。

    御多忙時、時間を割いて頂き、誠に有難う御座います。

  2. こんにちは。
    NTSCの同期信号は矩形波ではなく、デューティ比が小さいパルス波です。

    当初私はディスクリートでこの辺りを作ろうとして、同期信号を_|____|____|____|___ のような元の同期とは反転したパルス波形(同期アクティブがVcc、それ以外が0V)で取り出して、次段でこれを微分回路(とマイナス側はクリップ)にかけて \__\__\__\ のような波形にし、(パルス波を微分回路にかけると、どうなるか判りますよね?)
    それを緩衝増幅を通して、波形が反転させ、 / ̄/ ̄/ ̄/ ̄ のような掃引信号を得ることを考えてました。(画像が使えないので雑ですみません)

    そもそも微分回路の出力を反転増幅すると積分回路の出力と同じ、また積分回路の出力を反転増幅すると微分回路の出力と同じです。(ここでいう反転増幅は両電源OPアンプの反転回路ではなくて、単電源1石TrのA級増幅のイメージ)

    同期信号をHighで取り出すか、Lowで取り出すか、次段のランプ波生成をどのような回路にする(マルチバイブレータ回路?、シュミット回路?、ブラウン管TVなら偏向ヨークのインダクタンスで積分回路?)か、時定数回路をどこに付与するのか、さらに後段で反転するかどうかなどの要因で、積分にするのか、微分にするのかは変わってきます。

  3. 御多忙とは存じますが、貴殿の下記ブログの内容につき、御尋ね致します。
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    オシロでテレビを見たい。

    ※ハードを作る気があってICが手に入るなら、掃引用の信号は同期分離ICのH-Sync出力とV-Sync出力にCとRでできた微分回路(大学の授業で出てくるやつ)をかませれば完成するし、輝度変調はただのビデオアンプなので専用ICでもTr(大学の授業で出てくるやつ)でも簡単にできるから、オシロでテレビなんて難しすぎて絶対できませんよ、ていうほどは難しくは無い。はず。

    ———————————

    微分回路と成っていますが、積分回路では無いでしょうか。矩形波系の波形から索引用のノコギリ波を出す場合、いくら調べても積分回路以外、考えられ無いのですが。
    御示唆、頂けませんでしょうか。

    もし当方の浅学による誤認が在りました切は御容赦下さい。

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