変更申請

★2020年4月にアマチュア局の免許手続きの簡素化(デジタルモード追加)が施行されたのでここに書いてあることは参考程度にしてください。ここまでしなくても必要なモードの申請は可能です。
当サイト内リンク:
— 以下当初のまま —
まだ免許状は来てないし総通からも問い合わせが無いので申請が通ったものとして申請内容を公開。
変更申請なのでこの内容とは正確には異なりますが、ここでは新規で開局することを想定するものとします。

開局の前提は

  • 移動するアマチュア無線局
  • 無線機はIC-706MK2G(50W改造)、IC-910(1200MHzつき)、
    ほか50,144,430,1200MHz帯のハンディ機、144,430MHzモービル機(なぜかD-STAR)
  • 低速パケット、高速パケット、RTTY、FAX、SSTV、デジタルSSTV、PSK31、AF発振器を附属装置とする
  • 資格は1アマ、2アマ
    →3アマは過去記事参照。

必要な書類は次の通り。このうち局固有で作成時に迷いそうな項目を公開してみます。

  1. アマチュア局の無線設備の保証願書(TSSへの「郵便振替払込受付証明書」つき)
  2. 無線局免許申請書
  3. 無線局事項書及び工事設計書
  4. 附属装置の諸元内容等
  5. 送信機系統図
  6. メーカー作成の「空中線電力50W固定措置に関する証明書」
  7. 前納申出書

保証認定を使う場合は1~3が最低限必要です。4~7は必要に応じて。
私はこのほかTSS株式会社より指示があったためデジタルSSTVに関する資料を添付しました。

今回の変更申請時に必要な書類は1、2と似た書式の変更申請書、3、4、5でした。開局のときは全部用意してくださいね。
附属装置に変更が無くても新規の送信機が有る場合は4.附属装置の諸元内容等は必要でした。

1.「アマチュア局の無線設備の保証願書」はTSS株式会社宛ての書類で保証認定を使うときに必要になる書類で、保証が必要な送信機が
一台でもある場合は技適証明の送信機も含めてすべての送信機を記入します。特に難しくは無いので記入内容は省略します。

2.「無線局免許申請書」は各通信局へ提出する書類で収入印紙を郵便局で買って貼ります。
ここでの収入印紙は国への手数料として納付したことの証票です。貼りなおしは違反なので注意しましょう。
変更申請で使う変更申請書では必要ありません。

3.「無線局事項書及び工事設計書」これは局ごとに変わってくるので特に違うところを説明します。

HFの電波形式3HAに附属装置のAF発振器によるA2Aの形式が含まれないので3.5MHz帯、3.8MHz帯、7MHz帯、14MHz帯、
14~24MHz帯には一括表記の2HA、3HAのほかにA2Aを、
3.8MHz帯には一括表記3HDのほかにA2A,F1B,G1B,G1D追加しました。

「電波の形式並びに希望する波数及び空中線電力」の内容はつぎのとおり
移動する局なので上級資格でも50Wが最高です。

  • 1.9M  A1A      50W
  • 3.5M  3HA,A2A  50W
  • 3.8M  3HD,A2A,F1B,G1B,G1D  50W
  • 7M    3HA,A2A  50W
  • 10M   2HC      50W
  • 14M   2HA,A2A  50W
  • 18M   3HA,A2A  50W
  • 21M   3HA,A2A  50W
  • 24M   3HA,A2A  50W
  • 28M   3VA      50W
  • 50M   3VA      50W
  • 430M  3VA      50W
  • 1200M 3SA      10W

無線局事項書の周波数とモードの特定は次の工事設計書と附属装置の諸元内容がわからないと記入できないので、
附属装置の諸元内容等→工事設計書→無線局事項書 の順番で情報を集めるとよいでしょう。
各送信機の周波数帯とモードのマトリクスを作成すると何を書かないといけないか分かると思います。

無線局事項書の裏面につづく「工事設計書」は面倒でモードと周波数帯を通常の表記で列挙せねばなりません
しかも第1から第6送信機までは附属装置を組み合わせるため取扱説明書記載のモードより多くなります。

●アイコム IC-706MK2G 50W改造 (変更)
装置の区分 第1送信機
技術適合証明番号 (50W改造のため記入しない)
発射可能な電波の形式及び周波数の範囲 A1A
→1.9MHz帯,4630kHz
A1A,F1B,F1D,G1B,G1D
→10MHz帯
A1A,A2A,A3E,F1B,F1D,F3C,F3F,G1B,G1D,J3E
→3.5,3.8,7,14,18,21,24MHz帯
A1A,A2A,A3E,F1B,F1D,F2A,F2B,F2D,F3C,F3E,J3F,G1B,G1D,J3E,30K0F1D
→28,50,144,430MHz帯
変調方式 A3E  低電力変調
J3E  平衡変調
F3E  リアクタンス変調
終段管 名称個数 1.9~50MHz   D70HVF1x2
144,430MHz  RD70HVF1x1
終段管 電圧 1.9~50MHz   13.3V
144,430MHz   13.4V
定格出力(W) 1.9~28MHz帯 50W
50,144MHz帯  50W
430MHz帯     20W
●アイコム IC-910D (変更なし)
装置の区分 第2送信機
技術適合証明番号 002KN346
発射可能な電波の形式及び周波数の範囲 A1A,F1B,F1D,F2A,F2B,F2D,F3C,F3E,G1B,G1D,J3E,30K0F1D
→144MHz帯,430MHz帯,1200MHz帯
変調方式 J3E  平衡変調
F3E  リアクタンス変調
終段管 名称個数 144MHz     2SC5125x2
430MHz       2SC3012x2
1200MHz      M57762-02×1
終段管 電圧

144MHz     13.3V
430MHz       13.3V
1200MHz      12.7V

定格出力(W)

144MHz     50W
430MHz       50W
1200MHz      10W

●旧八重洲無線 FT-104  (取替)
装置の区分 第4送信機
技術適合証明番号 (JARL認定機種のため記入しない)
発射可能な電波の形式及び周波数の範囲 F1D,F2A,F2B,F2D,F3C,F3E,F3F
→1200MHz帯
変調方式 F3E  リアクタンス変調
終段管 名称個数 M57787MAx1
終段管 電圧

7.2V

定格出力(W)

1W

第4送信機以降は似たようなハンディ機が並んでいるので省略します。
それらは電波の形式に周波数帯が異なるほかは第3送信機と同じモードを記載しました。(F1D,F2A,F2B,F3C,F3E,F3F)

●旧八重洲無線 FT-73
装置の区分 第7送信機
技術適合証明番号 (JARL認定機種のため記入しない)
発射可能な電波の形式及び周波数の範囲 F3E
→430MHz帯
変調方式 F3E  リアクタンス変調
終段管 名称個数 430MHz       M57797MAx1
終段管 電圧

430MHz       12V

定格出力(W)

430MHz       5W

第7送信機以降は附属装置を組み合わせないため取扱説明書に準ずる内容です。
参考のために前回提出した第7送信機を挙げておきます。これは古い機種のため現行の形式にあわせなければなりません。
実際にはFT-73は使用頻度が低く、知人に譲る予定のため今回は撤去にしています。

4.「附属装置の諸元内容等」も装置が増えると面倒なものです。
低速パケット、高速パケット、RTTY、FAX、SSTV、デジタルSSTV、PSK31、AF発振器の諸元を提示します。
ここに挙げたものは実際に申請で使った値です。(※の注釈は書かない)

これらの装置はパソコンとソフトで実現可能なものばかりなので、パソコンが一台あれば附属装置として使えます。
ただし高速パケットはVCO直接変調入力が、FSK RTTYはFSK入力が送信機に無いと使えません。(未確認だが改造でつけた変調入力でも良いはず)
なおパソコンのソフトのほか、高速パケットにはタスコのTNC、AF発振器は単体のものも用意しました。

●データ通信装置(パケット)
1  方式 AFSK
2  通信速度 300/1200ボー
4  副搬送周波数 1700Hz
5  最大周波数偏移または位相偏移量 ±100/±1500Hz
9  符号の構成 ASCII,JIS,AX25
10 装置出力の最高周波数 (記入しない)
11 その他 電波形式 F1D,F2D
組合せて使用する送信機番号 第1,2,3,4,5,6送信機

※パケット通信装置は諸元が異なるため低速と高速を別に書く。
※SSBではF1D、FMではF2D。

●データ通信装置(高速パケット)
1  方式 FSK
2  通信速度 9600ボー
5  最大周波数偏移 ±2400Hz
9  符号の構成 ASCII,JIS,AX25,G3RUH
11 その他 電波形式 30K0F1D
組合せて使用する送信機番号 第1,2送信機

※パケット通信装置は諸元が異なるため低速と高速を別に書く。
※送信機は高速パケット対応の入力を使いFMで。F1Dなので一括表記に含まれる。
※パケット入力が無い無線機では改造が必要で、場合によっては概略図の提出を求められるかも。

●RTTY装置
1  方式 AFSK,FSK
2  通信速度 45~110ボー
4  副搬送周波数 2210Hz以下
5  最大周波数偏移または位相偏移量 ±170Hz
9  符号の構成 BAUDOT
10 装置出力の最高周波数 (記入しない)
11 その他 電波形式 F1B,F2B
組合せて使用する送信機番号 第1,2,3,4,5,6送信機

※FSKは送信機のFSK入力でVCOを直接変調する方式。この場合は4副搬送周波数は当該項目ではない。
※AFSKは低周波キャリアを周波数変調したものを送信機の音声入力に接続する方式。
※SSBではAFSK、FSKいずれもF1B、FMはAFSKでF2B。

●FAX装置
1  方式 SCFM
2  通信速度 (記入しない)
4  副搬送周波数 1900Hz
5  最大周波数偏移または位偏移移量 ±400Hz
9  符号の構成 (記入しない)
10 装置出力の最高周波数 828Hz
11 その他 電波形式 F3C
組合せて使用する送信機番号 第1,2,3,4,5,6送信機

※いわゆるHF-FAX。G3方式のFAXを接続する場合はこの諸元とは異なるはず。
※FM、SSBいずれも電波形式はF3C

●SSTV装置
1  方式 SCFM
2  通信速度 (記入しない)
4  副搬送周波数 1750Hz
5  最大周波数偏移または位相偏移量 ±550Hz
9  符号の構成 (記入しない)
10 装置出力の最高周波数 900Hz以下
11 その他 電波形式 F3F
組合せて使用する送信機番号 第1,2,3,4,5,6送信機

※FM、SSBいずれも電波形式はF3F

●SSTV(デジタル)装置
1  方式 FDM
9  符号の構成 リードソロモン
11 その他
第1副搬送波周波数変調
第2副搬送波周波数変調
帯域幅
画像圧縮
電波形式
使用するソフトウェア

8相DPSK
SSB
300~2400Hz内に最大8波
JPEG,GIF等
F1D,G1D
DigiTRX,HamPAL,SSTVPal等
組合せて使用する送信機番号 第1,2,3,4,5,6送信機

※副搬送波周波数や周波数偏移は記入無し。(電波の形式、周波数帯幅はこの内容で推定できる)
※FMの場合はF1D、SSBの場合はG1D

●AF発振器
発振周波数 1200Hz以下
電波形式 A2A,F2A
組合せて使用する送信機番号 第1,2,3,4,5,6送信機

※AF発振器とは低周波発振器ともいい、断続音を発生させてモールス信号を送出する装置。
※AM(SSB)ではA2A、FMではF2A。
※この方式で許可される発振周波数は1200Hzが最大。

●PSK31装置
1  方式 ABPSK,AQPSK
2  通信速度 31.25ボー
3  周波数偏移 なし
5  副搬送波周波数 50~2800Hz
11 その他 電波形式 F2B,G1B
組合せて使用する送信機番号 第1,2,3,4,5,6送信機

※FMではF2B、SSBではG1B

注意点。

  • 機器や方式を特定しない。書かないか、「○○等」という表現で。
    項目が「最大」となっている場合は許可される範囲で大きい値を、「標準値」の場合はできるだけ広い範囲を書くか「○○以下」。
  • 複雑になると保証認定が通りにくいが、これで問題ない。ポイントは「この内容で許可された前例がある」こと。
    内容についてある程度は理解していないと再提出のとき困ったあげく、せっかく書いた項目を削除するはめになります。

いろいろツッコミどころがありますが、とにかく電波形式と占有周波数帯幅、伝送する内容が算定できればよいのです。
「技術研究が目的のアマチュア業務」なので附属装置の構成を変更はしょっちゅうですし。
包括免許制度になって、なおかつ附属装置の制限も自由にならないと、こういう手間というか世話がかかります。
まあ、実際のところ400Hzで申請したF2Aのトーンが600Hzになったところで何も無いとは思いますが。。

この書類はCQ出版社の開局用紙に手書きしたのですが、汎用の様式なので不要な枠(「記入しない」の項目)があったりとか、
枠が足りないので裏側に手書きで罫線を追加したりとか、かなりめんどい。

6.「送信機系統図」はCQ出版の開局用紙では4送信機分しかなくて足りないし手書きがイヤになってきたので
パソコンを使って作成しました。これならパワーポイントでコピー&ペーストしていけばあっという間に完成します。

これも附属装置と同じように抽象的に書きます。(ただし意味が分かるように。)
私は各附属装置を一つのブロックにして送信機のマイク入力、FSK入力、VCO入力に繋がるイメージを表現してみました (ぇ
附属装置は「パソコン」とか「機種名」を書かないようにして、単に各諸元で信号を生成するブロックとしています。
TSS様からは「単体ハードと思われるので、電波形式を特定するため詳細な構成簡単に記して」みたいにいわれましたが、
「装置の構成は研究の対象であり、いろいろありえる。とりあえずソフト名を例示する。」と切り返しました。
我ながらイヤラシさ抜群ですね。技術研究のためですから。

第1、2、3送信機系統図を例として掲載します。他の送信機も番号や周波数が異なる以外同じです。
何しろコピーで作ってるんですら。


系統図は変更ないので最初提出しなかったら、FAXでいいから出してくださいといわれて追加しました。