DX-SR9とアンテナの話まとめ

アルインコ DX-SR9Mの話

アナログな無線機を調達したい。
https://mzex.wordpress.com/2021/10/02/18800/

DX-SR9オーナーになるための費用。
https://mzex.wordpress.com/2021/12/03/19311/

いちばん簡単でいちばん詳しいDX-SR9Mのデジタルモード付きな令和最新の局免申請のし方。
https://mzex.wordpress.com/2021/10/23/18919/

DX-SR9にコリンズのメカニカルフィルターを装着。
https://mzex.wordpress.com/2021/11/15/19097/

DX-SR9を受信改造してみる。
https://mzex.wordpress.com/2021/10/03/18818/

DX-SR9でSDR
https://mzex.wordpress.com/2021/10/10/18858/

DX-SR9でDRM放送を受信。
https://mzex.wordpress.com/2021/11/28/19258/

DX-SR9のUT/LTモード。
https://mzex.wordpress.com/2021/10/31/dx-sr9%e3%81%aeut-lt%e3%83%a2%e3%83%bc%e3%83%89%e3%80%82/

●ATUとアンテナ系の話

穴をあけずにロングワイヤーアンテナを設置したい。
https://mzex.wordpress.com/2021/11/23/19209/

家屋に穴を開けないアンテナを評価してみる。
https://mzex.wordpress.com/2021/12/17/19428/

ATUのアースをどうしたらいいのかわからない。
https://mzex.wordpress.com/2021/11/14/19039/

ATUのアースをどうしたらいいのかわからない-その2。
https://mzex.wordpress.com/2021/11/14/19062/

EDX-3を調達した。
https://mzex.wordpress.com/2021/11/07/19010/

手動アンテナチューナーも欲しい。
https://mzex.wordpress.com/2021/12/12/19355/

コメットのCAG-300Xを分解してみた。
https://mzex.wordpress.com/2021/11/18/19133/

家屋に穴を開けないアンテナを評価してみる。

窓貫通アンテナ(TYKスタイルアンテナ)での送信を簡単に定量的に評価してみた。

https://mzex.wordpress.com/2021/11/23/19209/

ATU+通常のロングワイヤーエレメントに対して、ATU+窓コンデンサエレメントで受信側の信号強度の差が少なければ実用に供するものだと判断できる。アンテナ作ったときによくやるCQ出してRSレポートで、ってやっても59、59+が返ってきてなんだかなーてなるのがオチだからもっと現代的にやってみる。今回は放射パターンを知りたいのではなくて、通常エレメントとの差が分かればいいだけだから、単純に公開されているKiwiSDRでメーターを読めばいい。同一の相手局を使う限り、相対的な値とはいえ御祝儀レポートをもらうよりは通常エレメントとの差を知る手がかりにはなるだろう。国内の少し離れたKiwiSDRを使って読んだ値。

・MTU+人工RFグラウンド
-105dBm(50W)、-110dBm(10W)

・MTU+3mラジアル線
-109dBm(50W)、-115dBm(10W)

・ATU+人工RFグラウンド
-105dBm(50W)、-111dBm(10W)

・ATU+3mラジアル線
-109dBm(50W)、-115dBm(10W)

MTUはコメット CAT-300、ATUはアルインコ EDX-3。人工RFグラウンドはコメット CAG-300X。ラジアル線はKIV3.5sq 6.5mを室内に這わす。アンテナ側は前回設置した窓貫通エレメントのワイヤー。

結果、
・MTUとATUで、差はほとんどない。
・人工RFグラウンドでRFアースを追い込むと固定長のワイヤーより5dBほど改善する。
→ラジアル線をきちんと調整すればおそらく同等の性能が出せるが手間がかかる。
・MTUの調整を追い込むとATUを超える性能を出せる場合がある。

MTUでもきちんと調整すればATUと同等かそれ以上の性能を出せるが、ATUのほうが機械に任せられるので圧倒的に楽だし調整中に感電しない。結果には書いてないがMTU+1:9バランでも調整ポイントが異なるだけでそれほど遜色ない結果が得られる。



さらに追試

窓コンデンサあり(ATU+C)、窓コンデンサをケーブルでショート(ATU+S)、屋外エレメント直結(ATUのみ)の各状態で比較してみる。各構成は接続の関係でエレメントの長さが少し異なる。すべてのパターンでATUには6.8mのラジアル線を1本だけ接続し、人工RFグラウンドは未使用。KiwiSDRは国内で少し距離のあるところを選んだ。

1.8M
ATUのみ -100dBm
ATU+S  -98dBm
ATU+C  -98dBm

3.5M
ATUのみ -104dBm
ATU+S  -104dBm
ATU+C  -104dBm

7M
ATUのみ -96dBm
ATU+S  -95dBm
ATU+C  -96dBm

18M
ATUのみ -101dBm
ATU+S  -101dBm
ATU+C  -100dBm

各構成とも差があまりなかった。窓コンデンサ有りのが良いものもあるが、コンディションの変化による差のほうが大きい。無理に室内にアンテナを設置したものや、ウィンドウスルーケーブル+ブロードバンドアンテナよりよっぽどよく受かるし、よく飛んでいる。Webに公開されているSDRを使うと地球の反対側まで飛んでいることが確認できた。50Wだけでなく10W送信でもアルゼンチンのSDRでCWの信号を確認できるくらいだったから、十分効率よく放射されてるんだろう。まあ、パイルに勝つにはやっぱりパワーも必要。この構成で200W程度かけても問題ないとは思うが、200W超の免許を下せるかは分からない。

あと、ATUにしろマニュアルチューナーにしろ調整が中途半端だと結構感電しやすい(意外なところに触れると熱い)。当然変なところにRFがかかっているわけで、人工RFグラウンドでラジアル線にきちんと逃がしてやることで感電も防げるし、エレメントから効率よく電波が出て受信側に到達する信号強度も強くなることも分かった。室内に強電界を発生させる機器を設置するのだからこのへんはきっちりしたほうが安全。地面に設置するときみたいに適当な長さのラジアル線を何本か接続、みたいな中途半端なことをするのは感電の原因になった。VSWRはチューナーで1.0に追い込んで、ラジアル線のRF電流も人工RFグラウンドで最大値にきっちり調整すると、意外なところで感電しないで済む。

手動アンテナチューナーも欲しい。

ATUを買ったらワイヤーアンテナはそれで十分かと思ったてたら、やっぱり手動のアンテナチューナーも欲しくなった。

IC-R8600でBCLする受信用としては、先ずDX-SR9に接続して放送になるべく近いアマバンドでチューニングしてからIC-R8600に接続しなおしとかいう面倒な作業をしないと使えないし、短波放送バンドはアマチュアバンドとは数MHz異なるわけでそもそもきちんとチューニングできない。(SR9だとアマバンド外でもチューニング動作できるとかいう話は無しで。)

現在入手性の良い手動チューナーはコメットのCAT-300と小さいCAT-10Aか、MFJの495Eやその他いくつかのモデル。数百ワットクラス以上の普通なものかQRP専用かのどちらかを決めれば、メータ付きかメータ無しかくらいの違いで構造的にたいした差はないからどれを選んでも良いし、何なら作っても良い。

結局コメットのCAT-300を買った。以前持っていたクラニシのNT-636より端子が少ない分軽いし、パネルのエッジが立ってないのが良い。クラニシと比べるとバリコンの操作感は安っぽい。CAG-300Xは不良品だったから、今回も即解体して検品することにした。

設計上はていねいに作られていて、SWR検出のセンサ部がシールドに入っているし、シールドと本体がハンダ付けで導通されている。NT-636はむき出しだったのでこれのがいいかも。アンテナ側バリコンは回すとなんとなくゴリゴリした感触があって安っぽい。送信機側バリコンは滑らかに回る。そのうち馴染んでくれるといいんだけど。不具合らしいのはそれくらい、今回は動作上の問題はなさそう。

DX-SR9CAG-300Xと重ねたり並べるとよりかっこいい。

DX-SR9オーナーになるための費用。

無線局を構築するには無線機本体だけではなくて周辺にもいろいろとお金がかかる。アルインコのDX-SR9はHF無線機では最安に位置し、無線局を安く構築する中核機材として選択肢の一つとなる。

で、今回DX-SR9Mの追加にかかった費用を俯瞰する。

●本体
アルインコ DX-SR9M 本体      ¥65,000
アルインコ EDS-17 セパレートキット ¥5,000 ※無くてもいい
アルインコ ERW-7 PC接続ケーブル  ¥4,000 
アルインコ EJ-59U フィルタ基板  ¥2,000
AOR MF500 CWメカフィル      ¥9,000 ※要らない
AOR MF6.0 AMメカフィル      ¥9,000
AOR MF2.5 SSBメカフィル      ¥9,000
小計 ¥103,000

●アンテナ系
アルインコ EDX-3 ATU       ¥45,000
コメット CAG-300X 人工RFアース  ¥30,000 ※無くてもいい
KIV 3.5sq 40m           ¥6,000 ※20mあればよい
第一電波 SX-1100 SWR計      ¥27,000 ※過剰投資
小計 ¥108,000

●申請手続
JARD 保証料            ¥4,100

合計 ¥216,600

本体周辺で10万円。コリンズメカフィルフル実装、フルオプションでこれは驚きの安さ。この構成でも販売店値引きやポイントでもう少し安くなって10万円未満に抑えられる。それに実用上CWフィルタは無くても良い。

アンテナ系もATUだけじゃなくて人工RFグラウンドやSR9に内蔵されていないSWR計も購入したから本体側とほぼ同額。SWR計はVHF~1.2GHz対応で過剰。SR9用としてならSX-100(HF~200MHz)で13,000円くらいで十分だし、CAG-300Xは用途次第では要らないからアンテナ系も6万円台に抑えられる。

何が必要かよくわからなかったから全部盛りで結局20万円以上になってしまったけど、最初から周辺機材の要不要が判れば実用的な構成でも15万円あれば固定機に必要なものがすべて揃うはず。

コリンズメカフィルを入れてアンテナ一式を揃えたベースステーションでも15万円前後でなんとかなってしまうDX-SR9は、やっぱりコスパが良い。



SR9の入れ替え弾となったFT-450Dも本体だけなら7万円くらいだったけど、USB接続用のSCU-17が2万円くらいするし、ATUとかATAS-120Aなんかの便利アンテナが4~5万円するから、今回のSR9+ATU的な簡単便利構成でデジタルモード対応だと14万円くらいにはなってくる。ただFT-450Dは去年ディスコンで、現時点ではコンパクト機のFT-891が値段的にも性能的にも近いが、デスクトップ機としてSR9の競合はもはや存在しない。

昨今はリタイア組がけん引しているのか本体だけでも100万円前後の高価なトランシーバー(IC-7851TS-990FTDX-9000DFLEX-6600M)やキロワッターなリニアアンプが結構売れているらしい(本当?)が、新品の設備でHF固定局を整えるなら最低でも15万円前後からということなんだろう。

DX-SR9でDRM放送を受信。

試行錯誤していたアルインコの名機DX-SR9を使ったデジタル短波放送DRMの受信。ようやく音声のデコードに成功した。

使用環境
・受信機 Alinco DX-SR9M FW1.07 + アンテナ EDX-3 + 室内設置ロングワイヤー3.5m
・パソコン HP ENVY14 Windows11 Professinal 64ビット版
・サウンド Creative SoundBlaster Digital Music PX
・SDRソフト Dream 1.13
・受信日時 2021年11月28日 11:50 JST
・放送局 中国之声 17830kHz

受信方法
1.サウンドアダプタのLINE-INにSR9のIQ出力を接続。
2.サウンドアダプタの入力レベルを「32」に設定。
3.SR9の受信周波数を17824.80kHzに設定。(放送周波数-5.2kHz)
4.SR9の受信モードをSDRに設定。
5.Dreamを起動、入力デバイスと出力デバイスを設定。
6.ある程度デコードが進むとチャネルが選択できるようになるので1のaac Monoを選ぶ。
7.MSC(Main Service Channel)のデコードに成功すると音声が出てくる。

これで長いときは3~5分程度連続して受信ができた。音声はエラーのためにデジタルなノイズ混じりだが、女性アナウンサーが喋っている中国語であることとBGMが鳴っていることは判る。SR9でのDRM受信が難しいのには理由があって、SR9のIQ出力の周波数特性がフラットでないことと、サウンドアダプタの下限周波数が0ではないことが主な原因。

SR9のSDR機能のうたい文句では帯域幅が48kHz以上と表現されるが、これはSDRソフトのKG-TRXがL+RでIQ信号の両側を利用しているためで、dreamなど通常のSDRはサウンド入力を単純にIF入力として扱うため+24kHz側のみをIFとして扱うことになる。もっともSDRソフトがIQ両側を利用できたとしても、サウンドアダプタの下限周波数付近はまともに扱えず24kHz連続ではなくて中央部分が欠けてしまうから、DRMで使われるOFDMでは受信周波数を中央に持ってくることはできない。けっきょく片側の帯域に収めてデコードにかける必要がある。しかも+24kHzの帯域といっても周波数特性はフラットではなく、7kHzくらいから徐々に低下して12kHz付近では-20dBって感じだから、まともにフラットなのは8kHz未満ってところだと思う。アマチュアの狭帯域デジタルみたいに帯域幅3kHz/6kHz以下ならこれでも良いけど帯域幅10kHzのOFDMみたいな広帯域デジタルだとエラーが多くなる。

そもそもKG-TRX以外の動作を保証していないSR9の仕様に文句を言っても仕方がないので、できるだけデコードに成功できるやり方を考えると、SR9はSDRモードに切り替える直前の受信周波数がIQ出力の下限周波数=0Hzになるので、これを+側にオフセットさせる必要がある。DRMの帯域が10kHzなので受信周波数を放送周波数の-5kHzにしてやれば0~10kHzに収まって良いのだが、0Hz付近はサウンドアダプタ側の下限にひっかかって取り込めないのでさらに200Hzオフセット。合計で-5.2kHz下げて17824.80kHzを受信状態でSDRに切り替えればDRM放送の信号がIQで200Hz~10.2kHzの範囲に収まる。下限はサウンドアダプタの特性に、上限はSR9の特性に阻まれるようなイメージ。このへんは環境や個体差に依存するから試行が必要。ただし、どんな環境であってもベストポジションがあるのは-5.0kHz~-7.0kHzの間のはず。次のIC-R8600の画面からイメージできると思うが、-5.0kHz未満ではOFDMの一部が欠けるため不可。

放送周波数の中心。前後5kHzに信号が分布する。
帯域の下限より少し下からIQに現れるようにする。

あと入力レベルも結構シビアで大きければよいというものでもない。むしろ小さすぎるくらいのほうが好結果。自分の環境では入力レベル30~36なら比較的スムースにデコードが進む。この数字自体に意味は無くて相対的な値だからこれも試行が必要。

ちなみにSR9にコリンズメカフィルを装着しているがIQ出力はIFフィルタの入力側を分岐して取っているので関係なし。標準のムラタセラフィルでも変わらないはず。