ATUのエレメント長を再検討する。

送信で効果的に使えるロングワイヤーアンテナとして、ATUにつなぐエレメントとラジアルの考証から得られた推定をもとに、実際に使える長さを求めてみる。

エクセルで求めた各型式のワイヤー長さ。波長短縮率0.95で計算したもの。右半分は1/2λの禁忌系列。左半分のうち1/4λ、3/4λはラジアル必要、5/8λ、9/8λはラジアル不要(補助的に共振しない、あるいは短いラジアルは要るかも)

値の色分けは20m以下の長さによる

ここから使えそうな組み合わせを拾い出す。色が似たものを組み合わせていくと見えてくる。次のような組み合わせが見つかった。

28MHz(5/8λ)+50MHz(9/8λ) 6.36~6.00m ※2.5m、1.4mラジアルは使用不可
10MHz(1/4λ)+28MHz(1/4λ)+24MHz(5/8λ) 7.1m ※7m+7.5mラジアル必要、2.8mラジアルは使用不可、18MHz不可の可能性
_7MHz(1/4λ)+21MHz(3/4λ) 10.18~9.90m ※10mラジアル必要、14MHz+28MHz不可
14MHz(3/4λ)+21MHz(9/8λ) 15.27~14.90m ※15mラジアル必要、3.3m、10mラジアルは使用不可、28MHz(3/2λ)不可
14MHz(5/8λ)+24MHz(9/8λ) 12.8m ※5m、2.8mラジアルは使用不可
10MHz(5/8λ)+18MHz(9/8λ) 17.6m ※7m、3.9mラジアルは使用不可、24MHz(3/2λ)不可の可能性

※5/8λ、9/8λ動作の場合、1/4λ、3/4λ…に対応する長さのラジアルは使用不可。
※サブで出るバンドは1/4λ系列のラジアルを接続して対応させる。
※細かく検証したわけではないのと、10cmオーダーの差はあまり考えてない。見落としはあると思う。

欲張って全部のバンドで使えるようにしないで、使いたいバンドで効率よく使えるかと、1/2λ×Nで使えないところを見る。最も手ごろなのは6.3mと12.8mか。6mや12mっていうのはATUを使うときの割とよく使われる(どのバンドも出られる)長さとして知られているけど、電圧給電になる動作で繋いではいけない長さのラジアルがあることが分かった。

6mのワイヤーに2.5m+1.5mのラジアルを組み合わせたとき、28MHz帯でマッチングがとれないところが部分的にあったが、電圧給電になっていたのが原因なのかも。ネットの書き込みでも6mワイヤーで28/50MHzのマッチングがとれなくてアースを外したら改善したとかいうのを見かけた。HFでATUは1/4λでとにかくアース、というのは思い込みかもしれない。

ATUのアースをどうしたらいいのかわからない-解決

前回はエレメントの電気長が不明なものとしてアンテナアナライザのインピーダンス表示をもとに電圧給電・電流給電を見定めたが、追試としてエレメント長が分かっているものとしてVSWRの変化を見てみる。

寒くて外に出るのが面倒なので室内でできる範囲で確認する。手持ちの6.66mのワイヤーをエレメントとして、同じ長さのワイヤーをラジアル線として使用する。波長短縮率を5%と仮定すると、電気的長さは5%長くなるので6.99m(約7m)となる。ワイヤーの長さを変更するのは面倒なのでアンテナアナライザの周波数を変更することでアンテナの形式を変更する。例えば7mのエレメントを1/4λで使うなら12.8MHz、5/8λで使うなら26.8MHzというぐあい。

いろいろな形式でラジアル有り、無しで得られる最小のVSWRを測定した。

最初の二行、1/4λと3/4λだけが電流給電でラジアルを必要とする接地型アンテナ、あるいは不平衡50Ωをバラン無しで直接接続したダイポール、三行目以降は電圧給電のエンドフェッドアンテナになる。

・1/4λ、3/4λは完全な電流給電となり、接地型アンテナ(GPアンテナ)として見立てるとアース側の線はラジアルとして、不平衡ダイポールアンテナとして見立てるとアース側の線がカウンターエレメントとして機能することで給電点のインピーダンスを下げていることが分かる。アンテナエレメントの根本に触れてもVSWRの変化は少ないが、ラジアル線が無くなると途端に不安定になり、VSWRも測定限界以上になった。

・1/2λの完全な電圧給電ではVSWRを十分下げることができなかった。給電点のインピーダンスがアンテナチューナーの整合範囲を超えている可能性がある。なんとかVSWRを下げたポイントではラジアル線の影響をあまり受けないし、無いほうがVSWRを下げられる。

・1λの電圧給電では1/2λよりVSWRを下げることができたが、1.0付近までは下がらなかった。これも給電点のインピーダンスがアンテナチューナーの整合範囲を超えている可能性がある。1/2λと同様にラジアル線の影響は少ない。

・1/2λ×Nより1/8λだけ短くした形式の3/8λ、7/8λはラジアルが無いとVSWRを下げられるが、ラジアルがあると全く下がらない。ラジアル無しの状態でもボディエフェクトは少ないが、アンテナエレメントの根本に触れるとVSWRが大きく変化するので電圧給電となっていることが分かる。分布定数回路としてみるとエレメントのより外側--つまりチューナーの内部に向けてより電圧分布が大きくなるっていくはずで、チューナーの動作としては厳しいことが予想される。このことから1/8λ短くした形式は適切ではない。

・1/2λ×Nより1/8λだけ長くした形式の5/8λ、9/8λは安定して動作する。どちらの形式もラジアルの有り無し、ボディエフェクトの影響が少ない。さらに0.5/8λ長くした9.5/8λはラジアル無しのVSWRを十分下げられるが、ラジアルを付けると受ける影響は9/8λより少し大きい。

電圧給電はアースの影響を受けにくいことが分かったが、1/2λ、1λなどハイインピーダンスになる最高点付近ではチューナーの整合範囲を超えてしまうのかVSWRを十分下げられないから、市販のノンラジアルアンテナがやってるように1/8λ延長してインピーダンスを少し下げるのが有効。今回試した中では5/8λ、9/8λの形式が調整のしやすさとアースに影響されにくい安定性を有していた。チューナーの調整は完全ではないので実際の運用に使うアンテナの製作時はエレメント長やマッチング部をもう少し調整してVSWRを下げる必要がありそう。

今回試した形式のベースになるアンテナの電圧分布。5/8λ以外の形式は同じ実効長を持つので理想的に動作する場合の感度はすべて同じ。ただ、モノポールの接地が不完全だとか、L型ダイポールのラジアルからの放射を遮っているとかだと実効長は最大で半分に減少するかもしれない。

5/8λは実効長が1/8ぶんだけ長くなるわけで、1/2λダイポールより指向性方向への感度が向上することが期待できる。9/8λはもっと実効長が長くなるので、より高感度が期待できるが、1λを超えてくるとサイドローブでパターンが乱れてくるので9/8λあたりが素直に使える上限だと思う。



いろいろ試してみたらATUに接続するエレメントとアースの方向性が見えてきた。

・エレメント長
主目的にしたい周波数の5/8λ、9/8λで設定。
物理的に制約がある場合は1/4λ、3/4λで設定。
9/8λ、3/4λは放射パターンが無指向性ではなくX字方向に近づく。
送信帯域が1/2λ×Nをまたがないようにする。
+1/8λより1/2λ×Nに近くても良いがチューナーの整合範囲内にとどめる。
-1/8λは高電圧部分がチューナー内部に入り込む形になるので不適。
放射パターンがクローバー状になるのを気にしない、あるいはローブ方向のゲインが欲しいなら1/8λ+1/2λ×N(N≧2)、1/4λ+1/2λ×N(N≧2)でも良い。

・ラジアル線
5/8λ、9/8λ動作させたい周波数の1/4λラジアル線は付けない。
1/4λ+1/2λ×N動作になる周波数に対応する1/4λのラジアル線を必要な本数追加。
1周波数帯につき1本。必要があれば帯域幅に合わせて長さを変えたものを1~2本追加してもよい。
動作の根拠が不明なラジアルは付けない。
電流給電時のラジアル線はGPアンテナのラジアルやDPのエレメントのように空中線として扱う。床などに雑に散らしておく場合は実効長が最大半分(電力比で3dBダウン)になるものと考える。→これに影響されたくないなら電圧給電にする。


これらをすべて満たす1本のエレメントと、何本かのラジアル線を選び出すのが最適解なんだけど、計算するのが面倒なのと理屈ばっかりであまり現実的でない気がしてきたので、使いたいバンドからエレメントとラジアルを作って使えないバンドを特定すると良い気がした。

・メインで出たいバンドを決めて5/8λ、9/8λでエレメントを作り、それ以外のサブで出たいバンド用に1/4λ+1/2λ×Nのラジアル線を複数つなぐ。ラジアル線はNの数で共用可。
・メインで出たいバンドのエレメントを1/4λ+1/2λ×Nで作ったら、そのバンド用にラジアル線も1/4λで作る。サブで出たいバンド用に1/4λ+1/2λ×Nのラジアル線を複数つなぐ。
・エレメント長から逆算して1/8λ±1/2λ×Nに該当したらラジアル線はつけない。
・エレメント長から逆算して1/2λ×Nに該当したバンドは送信しない。

今回得た知見はエレメントの長さは1/4λだけでなく実効長がより長い5/8λ、9/8λを選択できることと、1/4λのラジアル線を付けない条件が明確になったこと。

ATUのアースをどうしたらいいのかわからない-その4。

前回までにアンテナチューナーのアースをどうするべきかを思案して、最終的な机上の空論に辿り着いたから実験してみる。

まず、屋外に設置したロングワイヤーのエレメントをアンテナチューナーに直接接続し、チューナーをスルーにした状態でインピーダンスが最大・最小になる周波数を探す。アンテナチューナーのアースは何も接続しない。

インピーダンス最小は78.4Ω、ラジアルとなるものをつないでないからアナライザ・同軸ケーブル・チューナーの筐体が短いカウンターエレメントとして機能する。完全ではないが変形ダイポール相当と考えると、教科書的ダイポールのインピーダンスが約73Ωなので割と妥当。(アナログメーターは斜め下から写真を撮ったのでずれている)

インピーダンス最大は154Ω。200Ωくらいになるかと思ったけどそこまで上がらなかった。インピ最小側同様に筐体やケーブルが補助エレメントみたいになって完全な末端からの給電にならないのかもしれない。

※注意すべき点としてLoZ側、HiZ側ともに正確には1/4λ、1/2λの長さにはなってないはずで、実際の電気的長さがどうなのかは気にしていない。これはインピーダンス最小・最大のところで給電するのが今回の目的であるため。

次にアンテナチューナをONにしてチューニングを行う。アンテナチューナーのアースにはコメットの人工RFグラウンドを経由して3.5mのラジアル線を接続。チューニング時は人工RFグラウンドも調整する。

マニュアルチューナーの操作を少し手抜きしたので1.0までは落とせていないが、どちらの周波数も良い感じにVSWRが落ちた。アナライザの周波数が少し動いてるのも手抜きなので気にしない。どちらも50Ω近くになり、リアクタンスXも小さい値に。チューニング時は人工RFグラウンドも調整する。これで準備完了。

VSWRがLoZ側は1.1→4.2、HiZ側は1.2→1.4に変化。

どちらも悪化しているが、LoZ側のほうがRFアースの影響を極端に受けて、これではとても送信には使えない。対してHiZ側は送信しても問題ない1.5未満を維持している。やはり、HiZ側の電圧給電ではRFアースの影響を受けにくくてノンラジアルだし、LoZ側の電流給電ではRFアースの影響を受けやすいことが分かった。これはマニュアルチューナーでの結果だがATU(オートアンテナチューナー)だとしても同じはず。

※ここでも注意点があり、RFアース有り無しでのチューニングポイントは変えないものとして、RFアース有り無しでの影響が最大・最小になるポイントを探してチューニングを少し調整している。この補償調整をしないとHiZ側でももう少し差が大きくなるが(1.2→2.0くらい)、アース有り無しの影響が給電インピーダンスに依存することは試してみると分かるはず。

LoZ側はとても不安定で、完全に調整したRFアースを繋いでいると安定するものの、RFアースを外したり人工RFグラウンドの調整が不完全だと、アンテナチューナーやアナライザに触れたりするだけでVSWRは大きく変化する。逆にHiZ側はとても安定で同じようにエレメント以外の金属部に触れてもVSWRは少し揺れるだけでそこまで大きく変化しないし、そもそもHiZ側のチューニング調整時は人工RFグラウンドをどう設定してもVSWRにあまり影響がない。

コメットのアンテナアナライザーCAA-500 MarkⅡのグラフ描画機能を使うとさらに分かりやすい。これは便利だし理解が進む。できればZやR,Xのグラフも欲しい。

LoZ側、下の赤線 – RFアース有り
LoZ側、上の赤線 – RFアース無し
HiZ側、赤線 – RFアース有り
HiZ側、青線- RFアース無し

線が太くなっているのはダイヤルを回すたびに手を放して、ボディエフェクトの影響を確認しているため。手を近づける近づけないだけでもVSWRが揺れることが分かる。線の太さからボディエフェクトの受けやすさが読み取れると思う(グラフは片対数)。LoZ側はRFアースがうまく機能ていしないと不安定なことが分かる。反対にHIZ側の最良点付近ではボディエフェクトにもRFアースにも影響を受けない。



この結果から、「ATUはアースが重要」というのは必須の条件ではなく、エレメントが電流給電状態になるほど重要だし、電圧給電状態ではそれほど気にしなくて良いってことになる。ATUにつなぐエレメントが固定されているならば、ラジアル線を山ほどつなぐ必要はなくて、電流給電になる周波数帯の1/4λに相当するラジアル線を強化することが効果的かもしれない。

それに電圧給電時にはラジアル線自体あっても無くてもアンテナの動作に関係無いはずなのに、1/4λなどの共振しやすい長さのラジアル線をつないでいると正規のエレメントから出た電波で励振して回り込んだり放射パターンへの影響を起こすことすら考えられる。チューナーで思うようにVSWRが下がらないとか、アースをいい加減にするほうがマッチングを取りやすいような場合は電圧給電になっている可能性があるので、RFアースを無闇に強化しようと考えずに、ラジアル線を1/4λより十分短いものに変更して共振しないようにするのも一手。今回の実験中もHiZ状態ではVSWRを思うように下げられなくて、ラジアル線を変更するか取り外すとマッチングする状況があった。

あと、エレメント長も妄信的に1/4λにこだわってアースで苦労するよりも、VHF/UHFのノンラジアルなモービルアンテナがよくある5/8λのほかに7/8λ9/8λで作られているのにならって、エレメントの長さを使いたい周波数帯の1/2λか1λより少し長めか短め(3/8λ~5/8λ、7/8λ~9/8λ)でチューナーの耐圧を超えない範囲のできる限り高インピーダンス側に設定するほうが、1/4λよりも実効長が大きくなるしアースの影響も少なくなるしで良いかもしれない。

※9/8λ形式はあまり見かけないが、かつてコメット からSB-43として出ていた430MHzモノバンドの地味なアンテナには「430MHz帯 9/8λダブルCフェイズモービルアンテナ」と表記されていた。コメット用語で「Cフェイズ」は短縮コンデンサのことだから、このアンテナは多段ではなく、中間に短縮コンデンサを持つ 9/8λ 1段構成。ゲインはなんと5.0dBi (=2.85dB)。1/2λのDPより3dB近くゲインが稼げるということは、実効長が2倍近くあるということ。ただ、カタログスペックの64cmは430MHzの9/8λ(=波長短縮率を考慮しても74cm)より短いとか、ノンラジアルなのか書いてないとか、謎が多い。今は売られていないが現物を見てみたい。

この検証をしたいがためにコメットのアンテナアナライザーを買ったのだ。またまたお金をロスした。

ATUのアースをどうしたらいいのかわからない-その3。

ATUのアースをどうしたらいいのかなんとなく分かってきた。

ATUのアースをどうしたらいいのかわからない。
ATUのアースをどうしたらいいのかわからない-その2。

屋外型ATUあるいはアンテナチューナーに開放端のロングワイヤーアンテナを直付けする場合で、チューナーに取り付けるアースについてはネットで調べると山のように情報が出てきて真偽の判定ができなかった。だいたいは上の2エントリでまとめたとおりで、「アースは重要」「アースをきちんとしないと飛ばない」「本数や面積があればあるほどよい」みたいな実にアマチュア的な体験を元に語られている。

結論から言うとアンテナチューナーにつなぐRFアースは極端には次の2パターン。

1.エレメント長が1/4λ+1/2λの整数倍 (電流給電、ローインビーダンス)
→ 完全な接地、十分な容量のカウンターポイズ、1/4λのラジアル線、カウンターになるエレメントのいずれかが必要。

2.エレメント長が1/2λの整数倍 (電圧給電、ハイインピーダンス)
→ RFアースは不要。アース側に何をつないでも関係ない。

1のパターンが基本形で多くの場合はこれをもとに語られている。グランドプレーンやダイポールと同じ状態。V/UHFハンディホイップアンテナでVSWR計ごと掴んでVSWRがなかなか下がらない安定しないと、いろいろ持ち方を変えて試した経験がある人は多いと思う。

2のパターンに言及しているものは少ない。ノンラジアルアンテナとして動作する状態。V/UHFだとノンラジアルなモービルアンテナが雑に設置してもVSWRがぴたっと下がって安定し便利だ。このタイプは根本に電圧給電にマッチングさせる回路が入っている。

特別パターンとして2の状態でチューナーの耐圧やマッチング範囲を超える場合はチューナー内部のアンテナ側回路に高電圧がかかって壊れかねないので、1/2λの整数倍では使うなと取説に書かれている。これによりATUでは1/2λの整数倍が忌み数になる。

実際には1と2の中間の状態で使うことになる。これが微妙で、ローインビーダンス側に寄っていればRFアースの影響を受けやすくなるし、ハイインピーダンス側に寄っていればRFアースの影響を受けにくくなる。この違いが分かってないと闇雲にラジアル線を増設したり、なんとなく金網や鉄板をつないで良くなった気分になったりする。


結局、2はアースの影響を受けないが、1はアースの影響を受けるため、ATUにはRFアースをつなぎましょう、そしてRFアースは完全に接地か地面ギリギリでカウンターポイズというのはできないことも多いから、1/4λラジアル線で等電位面をつくりましょう、というのが最適解になる。やっぱりラジアル線は要るやんていうオチではある。

電圧給電状態だと本当にRFアースの影響を受けないのか、次試してみよう。

アンテナチューナーでロスは発生するのか

年が変わった。生活は特に変わらない。無駄遣いは代わり映えの無い生活に映えを与える。昨年は1㍋円に届く勢いでいろいろ浪費したからしばらくは節制が必要。

アンテナチューナーを使うのは無駄とか無理やりマッチングしているだけで意味が無いっていう意見を見かけるが、お金が大幅にロスした結果それが本当なのかようやく試せる環境になってきた。

コメットの手動チューナーCAT-300のアンテナ出力に50Ωと300Ωの抵抗負荷をつけてマッチングしているときの両端電圧の波形をオシロスコープで直接測定する。チューナー入力には信号源としてTRX-305を接続して最低出力で送信。

・50Ω負荷
電圧 19.8Vp-p = 実効値 7.00V
電力 0.98W

・300Ω負荷
電圧 48.9Vp-p = 実効値 17.29V
電力 0.99W

仮に50Ωの出力に300Ωのアンテナをチューナー無しで接続したらVSWRで6.0。「チューナーで無理やりマッチング」しているにふさわしい状態だけど、どちらも電力がほぼ同じになった。負荷の純抵抗はアンテナの等価回路で放射抵抗に相当する。これにかかる電力が同じということは、送信機の出力がロス無くアンテナにかかっていることになる。この状態ならアンテナチューナー内で熱に変わることもない。

リグ内蔵型アンテナチューナーのように出力に50Ω同軸ケーブルをつないでその先にアンマッチのアンテナを繋ぐのだと同軸とチューナー、同軸とアンテナの不整合点で反射が生じて熱損失になる、というのはよく言われるとおりだが、屋外型ATUのようにアンテナチューナーの出力に直接エレメントを接続する形態ならば、チューナーはアンテナのマッチングセクションにしかならないわけで、エレメント長がどうであれ同じ長さのモノポールアンテナやダイポールアンテナと同じ性能が得られる。チューナーを使って手抜きしても、エレメントから出ていく電力は減るわけではない。

試験でも出てくるし解説してくれてるサイトもたくさんあるのに実験しているのは見たことが無かったから、直接測れてすっきりした。

大金のロスに対して結果のマッチングがとれているかは疑わしい。