ATUのエレメント長を再検討する – その2

ATUのエレメントとアースの長さは何が良いのか、めんどうがらず論理的に計算を行ったうえで決定することにした。実際に試さないと正しいかどうか分からない。

前回の話
ATUのエレメント長を再検討する。

まとめ
・エレメント長1/8λ+1/2λ×N付近で扱いやすい電圧給電になる。
・電圧給電ではノンラジアルでアース不要。
・電圧給電では共振しやすい1/4λラジアルを付けてはいけない。

・電圧給電のエレメント長5/8λ、9/8λは1/2λフルサイズDPより実効長が大きくて、マルチバンド化のトラップも要らないし、ローブ方向のゲインは1/2λモノバンドDPや1/4λフルサイズバーチカルを超えるはず。(3/4λ以上は放射パターンがクローバー状になっていく)

前回作った表を手直しした

表の作成に使ったExcelワークシート。変更できるところは波長短縮率のみ。
atuwirelength.xlsx

20mを超えるようなものは自宅では使えないから暗い赤にして見ないことに。すでに屋外に張ったエレメントが推定11.5mくらいらしい。長さを測らずに張ったので正確な物理長は知らない。めんどうだからこれをそのまま使う。

この表から11.5m前後の値を拾い出す。

・3/4λで18MHz(紫枠)、9/8λで28MHz(緑枠)がちょうど。14MHz(緑枠)が5/8λに比較的近い。この3バンドが11.5mエレメントで効率的に使えそうなバンド。

・18MHz、28MHz以外はラジアル形式になるので1/4λのラジアル線が必要。(青枠)
3.5MHz 20m、7MHz 10m(カットアンドトライで実際は11m)、18MHz 3.9m。

ただし、他バンドと共用で不要になる条件があり、
21MHzの3/4λ 10mは7MHzの10mと同じなので21MHz用は不要。
10MHzの3/4λ 21mは3.5MHzの20mとより少し長いだけなので10MHz用は不要の可能性。
※ここでは20mは長すぎるため3.5MHzを対象外にして10MHz 7mを用意した。

・1/2λの倍数で24MHz、50MHzが該当(赤枠)。これが使えないバンドになる。ただし、50MHz帯は帯域が広く使えないのは一部分になるはず。あと50MHz帯は波長が短く理屈通りに動かない可能性が高い。


ということで使用可能バンドは7/10/14/18/21/28MHz、使用禁止バンドは3.5/24/50MHz。ワイヤーとして11.5mのエレメントをアンテナとして接続し、ラジアル線 11m・7m・3.9mを用意してマニュアルチューナーCAT-300に接続。ラジアル線は部屋の中の床に伸ばして置いた。

できる限りチューニングしてからVSWRをアンテナアナライザで測定。3.5MHzが使えないのは20mのラジアルを用意していないから。各バンドのVSWRと推定される形式。3/4λ、5/8λ、9/8λはフルサイズのダイポール(1/2λ)よりも長くて高感度かもしれない。短縮型はチューナーが延長コイルのようにリアクタンス補償をしているはずなので構造的にはベースロード型だが、コイルからの放射は期待できない。

3.5MHz 6.8 1/4λ接地型 短縮型
3.8MHz 4.5 1/4λ接地型 短縮型
7.0MHz 1.3 1/4λ接地型 フルサイズ
7.2MHz 1.1 1/4λ接地型 フルサイズ
10MHz 1.1 1/4λ接地型 延長
14MHz 1.1 5/8λノンラジアル 短縮率90%
18MHz 1.1 3/4λ接地型 フルサイズ
21MHz 1.1 3/4λ接地型 延長率110%
28MHz 1.0 9/8λノンラジアル フルサイズ
29MHz 1.1 9/8λノンラジアル フルサイズ

24/50MHzは、やはりVSWRが十分下がりきらず不安定。3.5MHzが単純にラジアル線を長くするだけでVSWRが下げられるのに対して、このバンドはRFアースの影響を受けにくくて、チューニングやラジアル線をどうやってもVSWRを安定して下げられない。これはハイインピーダンスの動作で、アースが不足してるとかそういうものではないし、チューナの耐圧を超える可能性があるので無理に動かそうとしてはいけない。

24MHz 2.1
50MHz 1.8
51MHz 1.7
52MHz 1.3
54MHz 2.3

接地型(電流給電)とノンラジアル(電圧給電)の違いはアンテナアナライザを使っている場合は次のようにして判断できる。10MHz帯は中途半端で中間の状態に見える。

・接地型
対応するラジアル線を外すとVSWRが大きく変化する。
ラジアルや筐体を触るとVSWRが変化する。
アンテナエレメントの根本を触ってもVSWRはあまり変化しない。

・ノンラジアル
ラジアル線を外してもVSWRが大きく変わらない。
ラジアルや筐体を触ってもVSWRがあまり変化しない。
アンテナエレメントの根本を触るとVSWRが大きく変化する。(ハイインピーダンス)

結果を見るとExcelの計算で求めた長さと実際の動作が一致する。今回は手動アンテナチューナーを使ったが、オートアンテナチューナーでも同じアンテナの動作になるはずで、時間が無くてATUではあまり試していないが、各対応バンドともチューニングが迅速に完了することと、VSWRが十分低くなることは確認できている。11.5mのエレメントでは、1本のエレメントと3本のラジアル線で6バンドに出られて、使用禁止のバンドも明確になった。

ATUは思った通りに動かないものだと聞いてはいたが、そんなことはなくて理屈通りに動くし、何が何でも1/4λとアース強化だけがATUの使い方では無いってわかった。



12mのエレメントって長さ手軽さキリの良さから使っている局長さんは多いと思う。3.5/7MHzでの動作は理にかなっているんだけど、14/24/28/50MHz付近が電圧給電動作になってて、ハイバンド用に1/4λラジアルを付けることで無用に回り込んだりして不安定になっている可能性があるかもしれない。

6.5mのエレメントも「どのバンドでも使える」ってことで市販品もあったりするけど、24/28/50MHzあたりが電圧給電動作、21MHzは1/2λになるからハイバンドは取り扱い注意。6mや6.5mエレメントでの動作はまた試してみたい。

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