ATUのアースをどうしたらいいのかわからない-その4。

前回までにアンテナチューナーのアースをどうするべきかを思案して、最終的な机上の空論に辿り着いたから実験してみる。

まず、屋外に設置したロングワイヤーのエレメントをアンテナチューナーに直接接続し、チューナーをスルーにした状態でインピーダンスが最大・最小になる周波数を探す。アンテナチューナーのアースは何も接続しない。

インピーダンス最小は78.4Ω、ラジアルとなるものをつないでないからアナライザ・同軸ケーブル・チューナーの筐体が短いカウンターエレメントとして機能する。完全ではないが変形ダイポール相当と考えると、教科書的ダイポールのインピーダンスが約73Ωなので割と妥当。(アナログメーターは斜め下から写真を撮ったのでずれている)

インピーダンス最大は154Ω。200Ωくらいになるかと思ったけどそこまで上がらなかった。インピ最小側同様に筐体やケーブルが補助エレメントみたいになって完全な末端からの給電にならないのかもしれない。

※注意すべき点としてLoZ側、HiZ側ともに正確には1/4λ、1/2λの長さにはなってないはずで、実際の電気的長さがどうなのかは気にしていない。これはインピーダンス最小・最大のところで給電するのが今回の目的であるため。

次にアンテナチューナをONにしてチューニングを行う。アンテナチューナーのアースにはコメットの人工RFグラウンドを経由して3.5mのラジアル線を接続。チューニング時は人工RFグラウンドも調整する。

マニュアルチューナーの操作を少し手抜きしたので1.0までは落とせていないが、どちらの周波数も良い感じにVSWRが落ちた。アナライザの周波数が少し動いてるのも手抜きなので気にしない。どちらも50Ω近くになり、リアクタンスXも小さい値に。チューニング時は人工RFグラウンドも調整する。これで準備完了。

ここでラジアル線を外して、VSWRの変化を確認する。VSWRの変化が大きければラジアルに依存して動作しているし、変化が少なければラジアルに依存せず「ノンラジアル」動作であると考えられる。

VSWRがLoZ側は1.1→4.2、HiZ側は1.2→1.4に変化。

どちらも悪化しているが、LoZ側のほうがRFアースの影響を極端に受けて、これではとても送信には使えない。対してHiZ側は送信しても問題ない1.5未満を維持している。やはり、HiZ側の電圧給電ではRFアースの影響を受けにくくてノンラジアルだし、LoZ側の電流給電ではRFアースの影響を受けやすいことが分かった。これはマニュアルチューナーでの結果だがATU(オートアンテナチューナー)だとしても同じはず。

※ここでも注意点があり、RFアース有り無しでのチューニングポイントは変えないものとして、RFアース有り無しでの影響が最大・最小になるポイントを探してチューニングを少し調整している。この補償調整をしないとHiZ側でももう少し差が大きくなるが(1.2→2.0くらい)、アース有り無しの影響が給電インピーダンスに依存することは試してみると分かるはず。

LoZ側はとても不安定で、完全に調整したRFアースを繋いでいると安定するものの、RFアースを外したり人工RFグラウンドの調整が不完全だと、アンテナチューナーやアナライザに触れたりするだけでVSWRは大きく変化する。逆にHiZ側はとても安定で同じようにエレメント以外の金属部に触れてもVSWRは少し揺れるだけでそこまで大きく変化しないし、そもそもHiZ側のチューニング調整時は人工RFグラウンドをどう設定してもVSWRにあまり影響がない。

コメットのアンテナアナライザーCAA-500 MarkⅡのグラフ描画機能を使うとさらに分かりやすい。これは便利だし理解が進む。できればZやR,Xのグラフも欲しい。

LoZ側、下の赤線 – RFアース有り
LoZ側、上の赤線 – RFアース無し
HiZ側、赤線 – RFアース有り
HiZ側、青線- RFアース無し

線が太くなっているのはダイヤルを回すたびに手を放して、ボディエフェクトの影響を確認しているため。手を近づける近づけないだけでもVSWRが揺れることが分かる。線の太さからボディエフェクトの受けやすさが読み取れると思う(グラフは片対数)。LoZ側はRFアースがうまく機能ていしないと不安定なことが分かる。反対にHIZ側の最良点付近ではボディエフェクトにもRFアースにも影響を受けない。



この結果から、「ATUはアースが重要」というのは必須の条件ではなく、エレメントが電流給電状態になるほど重要だし、電圧給電状態ではそれほど気にしなくて良いってことになる。ATUにつなぐエレメントが固定されているならば、ラジアル線を山ほどつなぐ必要はなくて、電流給電になる周波数帯の1/4λに相当するラジアル線を強化することが効果的かもしれない。

それに電圧給電時にはラジアル線自体あっても無くてもアンテナの動作に関係無いはずなのに、1/4λなどの共振しやすい長さのラジアル線をつないでいると正規のエレメントから出た電波で励振して回り込んだり放射パターンへの影響を起こすことすら考えられる。チューナーで思うようにVSWRが下がらないとか、アースをいい加減にするほうがマッチングを取りやすいような場合は電圧給電になっている可能性があるので、RFアースを無闇に強化しようと考えずに、ラジアル線を1/4λより十分短いものに変更して共振しないようにするのも一手。今回の実験中もHiZ状態ではVSWRを思うように下げられなくて、ラジアル線を変更するか取り外すとマッチングする状況があった。

あと、エレメント長も妄信的に1/4λにこだわってアースで苦労するよりも、VHF/UHFのノンラジアルなモービルアンテナがよくある5/8λのほかに7/8λ9/8λで作られているのにならって、エレメントの長さを使いたい周波数帯の1/2λか1λより少し長めか短め(3/8λ~5/8λ、7/8λ~9/8λ)でチューナーの耐圧を超えない範囲のできる限り高インピーダンス側に設定するほうが、1/4λよりも実効長が大きくなるしアースの影響も少なくなるしで良いかもしれない。

※9/8λ形式はあまり見かけないが、かつてコメット からSB-43として出ていた430MHzモノバンドの地味なアンテナには「430MHz帯 9/8λダブルCフェイズモービルアンテナ」と表記されていた。コメット用語で「Cフェイズ」は短縮コンデンサのことだから、このアンテナは多段ではなく、中間に短縮コンデンサを持つ 9/8λ 1段構成。ゲインはなんと5.0dBi (=2.85dB)。1/2λのDPより3dB近くゲインが稼げるということは、実効長が2倍近くあるということ。ただ、カタログスペックの64cmは430MHzの9/8λ(=波長短縮率を考慮しても74cm)より短いとか、ノンラジアルなのか書いてないとか、謎が多い。今は売られていないが現物を見てみたい。

この検証をしたいがためにコメットのアンテナアナライザーを買ったのだ。またまたお金をロスした。

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