Alinco DX-SR9の目玉機能に掲げられているSDR対応を試してみる。
メーカーのカタログで標準ソフトとしてKG-TRXというフリーソフトが紹介されている。IQ(IF)出力のセンター周波数が12kHzなのでDC領域から取り込めたとすると0~24kHz、IとQ両方合わせてSDRで利用できるバンド幅は48kHzが上限となる。SR9のSDR機能をフルに活用するなら上限で24kHzまで取り込みできる、サンプリングレートが48kHz16ビットでナイキスト周波数的には間に合うが、そんなオーディオ用サウンドアダプタが24kHzあたりまでフルフラットかどうか怪しいし、最近のハイレゾ対応のものだとしても0Hz(DC)なんてどう考えてもそのままでは取り込めそうにない。
したがってオーディオアダプタの周波数特性に依存してSDRの特性も変わってくる。理屈は小難しいが、こういうのは実際に見てみるほうが早い。


ノイズフロアがこんもりしていてこれがそのままSR9+オーディオアダプタを組み合わせた特性になる。仮にDCから取り込めるAD変換ボードで取り込んだうえでSR9の逆特性で補正してフルフラットになればノイズフロアは平らになるはず。
ノートPCのオーディオ入出力が4極コネクタで変換するのが面倒だったので古いUSBアダプタを使ったらハマった。Windows 10のインボックスドライバだとサンプリングレートが変更できないしモノラルでしか取り込みできず変なことに。メーカーにはWindows 7 64ビットまでのドライバしかなくて、そのままでは正しくインストールできず、セーフモードでインストールしてやっと使えるようになった。
正直Windowsのサウンド周りの設定さえ理解して設定できれば2chステレオのAF信号を扱っているだけなのでトラブルらしいトラブルは起こらない。このソフトの機能はシンプルで他のSDRソフトを使ったことがあれば難なく使えるだろう。ほかのSDRソフトと違うのは送信にも対応しているのでPCに内蔵するオーディオインターフェースは入力と出力が2組必要。出力は外部モニタがHDMI経由の音声出力を持っているなら活用できる。入力はマイクとLINEステレオ入力を独立で確保できないならもう一つオーディオインターフェースを追加する必要がある。
性能はIC-R8600とは比較にならないとはいえ、いちおうSDRとして受信ができることは分かった。SDRのトランシーバーがどういうものか理解するのには良い教材だと思う。正直これの使い方に言及している情報がほとんど探せなくて、ごくわずかに見つかるが、国内で使っている人がどれだけ居るのか疑問。
FT-450DよりDX-SR9のが使っていて面白い気がする。
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ここまでやっておいて身も蓋もないが、DX-SR9でSDR使ってベリーFBなQSOをおかせぎしようなんて思わないほうがいい。今どきなDSP搭載のFT-991Aとか完璧なSDRのIC-7300と比べてはいけない。
SR9は純粋なアナログ機として見てこそ、キラリと光る。
ピンバック: Alinco DX-SR9でDRM放送を受信。 | の回想録
SR9+DreamでDRM放送のデコードに成功。また後日記事にします。
こんにちは。
早々に詳細な情報をお教えいただき厚く御礼申し上げます。
またDREAMに関しては、実際に試して下さり本当にありがとうございました。
心より感謝申し上げます。
IC-R8600は人によって評価が分かれているようですが、やはり違いが判る人には価値のある製品なのでしょうね。
予算の関係でDX-RS9(DX-R8を買いそびれてしまったので)を検討していましたが...
しかし現状新品で入手できるアナログ機と考えれば、コストパフォーマンスは高いのでしょう。
実際に使いこなしておられる方の貴重なご意見をお聞きすることができて助かりました。
今後ともよろしくお願い申し上げます。
こんにちは。
きちんと測定したわけではありませんが、SR9のゼネカバ受信はやはりアマバンド外のおまけです。ただFT450が中波放送帯以下を特別扱いしてがっつり減衰するようになっている(ATT20dBが常に入る)のに対して、SR9は中波放送帯以下を特別扱いにしていないので、そこまで感度を落とさずに使えます。そのためMF/LF帯はFT450よりずっと良いですが、それでも受信専用機のIC-R8600には及びません。DX-R8の現物を使ってないのでSR9とどのくらい差があるのかは分かりません。
DREAMについては、まだSR9では使えていません。さっき試した限り、DREAMのDRMモードでFast Access Channel(FAC)のデコードまでは成功するものの、SDC、MSCのデコードにはたどり着けませんでした。(13825kHzの中国之声、MSC MERは7dB程度)
受信用SDRソフトにIQを入れるだけなら、通常モードで受信状態にしてからSDRモードに切り替えるとその周波数でIQが出てくるので、1本のケーブルでもなんとかなります。SSBやCWやAMの復調だけならIQ1本接続のDREAMでも使えます。SDRモードではパネルから制御できないので周波数変えるのにいちいち通常モードに変えないといけないのが不便なので結局制御ケーブルも繋ぎたくなります。
はじめして。
DX-SR9に興味があり、こちらのサイトにたどり着きました。
大変興味深く拝見させていただき感謝しておりますが、いくつか質問があります。
一つ目はトランシーバのジェネカバ受信は「おまけ的」と記載されておりましたが
DX-SR9に関しては例外と考えてよろしいのでしょうか?(対DX-R8など比較して同等?)
二つ目はSDRとして使ってみたいと考えておりますが、DREAMというフリーソフト
(ご存じかもしれませんが12kHzオフセットI/Q信号を取り込みます)でDRM放送を
聞いてみたいと思っています。
アイコム社のSDRトランシーバ等は実際に問題なく使っておられる人もいるようですが、
DX-SR9に関してはネット上で見つけることができませんでしたので使用の可否が
わかりませんでした。
違いはDX-SR9は送信・受信・制御用と3本のケーブルが必要なことかと思います。
ご多忙かと思いますが、何かご存じのことがごじましたらご教授いただけますよう
お願い申し上げます。