FMは音がいい?

めんどうなんで最初に答えを書いときます。FM放送はコンプ系なそれ用のエフェクターを通すから音が良く聞こえるんです。CDがソースであってもFM放送に乗せる段階で15kHz以上は切捨て。悪くなることはあっても良くはなりません。良く聞こえるように機械で調整している。そんだけ。アナログピュアオーディオだとか高級なチューナーだったらどうとか、いうだけ無駄です。

FM放送は音がいいと言われます。AM放送と比べての話ではなくFM放送でCDを流してもCDをそのまま聞くよりパンチが効いた音になる、という俗説です。FM放送の音が良く聞こえる理由をいろいろ考えてみました。

  1. プリエンファシスがかかっていて、高音域、低音域がよく出る。これはまちがいないでしょう。ラウドネスオンにしたらメリハリが出るのと同じ。
    .
  2. 15kHz以上はカットされており、余計な部分が無くなるため。聞く人によると思いますが、CDの15kHz付近から上はとんでもないノイズが入っていることがあります。
    .
  3. FM放送特有の少し残るホワイトノイズが心地よい。※三角雑音  ホールの空調のような、空気感が感じられます。テープでは記録できなかったのですが、PCMデジタル録音(DATなど)で録音すると、このノイズがFM放送をFMらしく聞こえるように決定付けている気がします。
    .
  4. FMステレオのマルチプレクスパイロット信号の19kHzが独特の緊張感を与えている。これは仮説です。FM放送特有の信号です。今日NHK-FMを聞いていたらやたらとパイロット信号が耳について気になりましたが、高級オーディオ用ノイズ発生器みたいなのもあるくらいだから、聞こえにくくても何か影響を与えているかもしれません。これも混じるとFM放送らしく聞こえます。※残念ながら聞こえない人もいます。後述。
    .
  5. 放送用の機材は良いはずだという思い込み。FM放送の機材はそんなに高級なのは使ってないと思います。TASCAMクラスのものであっても、決して高級オーディオではないはずです。
    .

ほとんど憶測です。でもFM放送らしい雰囲気の音っていうのがどこに起因しているのかは気になります。

だいぶ時間が経って、単体コンポのFMチューナーなんて完全に廃れたジャンルでヤマハが二機種作ってるくらいが最後なんじゃないでしょうか。ピュアオーディオを存続させたいなら、壊れかけの中古バブルチューナーよりこっちを新品で買ってあげてください。

手持ちのパイオニア F-D3も最高級ではないものの、平均的な「ラジオ」よりはマシなんじゃないかと考えながらアナログオシロで測定してみた結果。※こういう測定はFFT付きのデジタルオシロのがいいとかいうのは無しで。

まず、カネがかかっていると見ず知らずの聡明なあるお方が仰る超高級放送局NHK-FMを受信して普通に観測。

▼こんな感じ
FM音声信号

パッと見で何かノイズが乗ってるって見える人は正解。オシロの見方をきちんと知ってる人です。輝線が太く見えるのは何かが重畳(ちょうじょう)している証拠。

▼時間軸を拡大してみたところ
FMパイロット信号

ノイズに見えるのはFMステレオパイロット信号19kHzをカットしているはずのMPXフィルタをすり抜けてきたパイロット信号でした。測定ポイントはプリアンプで最大2Vp-pくらいにそろえた出力のところ。

目盛り読みで0.1Vp-pってところなんで、これだけ漏れてたら聞こえる人には聞こえるでしょうね。(最大音量から電圧比で-26dB。CDのDレンジは96dB、ラジオだって50dBくらいあるわけだから、-26dBは聞こえないような小さな音では全然ない。) これをゼロにするような特性のフィルタだと気持ち悪いくらいのデジタルフィルターを効かすか、高次のフィルタ(※)でもっと低いカットオフ周波数からスパッと切らないと消せないはず。はっきりいって漏れまくり。これ聞こえないにちゃんねらーは老人てことでFA。

※高次のフィルター = 位相特性で音が悪くなるって言われますよね。FMのステレオ信号なんてフィルターを利かせると音が悪くなる、利かせないとパイロットが漏れる。昔ながらの高級オーディオなアナログ回路なら、カットしようが漏らそうが、どっちに転んでも原理的に音が悪くなるってこと。高級なオーディオにしろ、FMのコンプにろ、音が良く聞こえるのはピュアとかナチュラルとかそんなんじゃなくて、良く聞こえるようにフィルタ、イコライザのたぐいで信号を加工しているからだっていう感覚は必要だと思う。

一般家庭にあるような測定器でも簡単に目視できるような余計な信号が乗っかっててすら「FMは音がいい」なんて言われちゃうんだから、今時のハイレゾとか高域側がいくら伸びてても、さほどは、いやちょっとは変わるんだろうけど、大半は関係ないんだなーとか思う。15kHz以下という限られた帯域でも、どういう音作り(エフェクト)をかけるかで良い音になりうるという見本かな。もしFMの音が良いと思うならば、良い音で聴きたいならばがっつりイコライジングかけて、こってりエフェクターをかけて、もりもりフィルター通して好みの音にしてください。もちろん十分なSNのRF入力を与えたうえで、ですよ。FMステレオ放送から取り出した音がCDよりも良いピュアオーディオなソースだなんて、思わない方がいいですよ。ましてやFM放送はフィルター通ってないとか音質操作がされてないなんて人に言ったら、技術的にも精神的にも恥ずかし過ぎて爆死レベル。

NHKはプロセッサを通してないから、同じソースでもすっきり聞こえるかもしれません。クラシックで音が小さいときはボリュームを上げ過ぎてノイズやMPXキャリアが気になることもありますが。